京都府立医科大学 外科学教室 心臓血管・小児心臓血管外科学部門
診療部長ご挨拶

診療部長ご挨拶

心臓血管外科 教授ご挨拶

ようこそ当科のホームページを開いて頂きありがとうございます。ご挨拶として、われわれの心臓血管手術に対する考え方、方針を述べたいと思います。

心臓血管外科の究極の目的は、生涯に渡り長持ちするように、破綻した心臓の構造を修復するという事だと思います。われわれは患者様の生涯に渡り効果的な手術を目指しています。例えば冠動脈バイパス術ではそのグラフトの材料に、内胸動脈という胸の壁の裏側にある質の高い材料を左右2本用いバイパスを行い、また弁膜症の手術、特に僧帽弁の手術ではできる限り御自身の弁を切り取らずに温存する形成術を行う方針で、9割以上の患者様に可能となってきました。

また、もう一つ目指していますのは、そのような質の高い手術を行うのに、できる限り身体に負担をかけない、いわゆる低侵襲な手術の開発です。近年、患者様はどんどん高齢化し、また心臓病以外にいろいろな病気を持っておられる場合が多くなってきました。そのような患者様には今までの心臓血管手術のように人工心肺を用いて、心臓を止めて手術する事が患者様の身体に対して大きな負担になってしまうことがあります。われわれは冠動脈バイパス術では人工心肺を使用しない心拍動下での手術を1997年から手掛けており、御高齢、重症の患者様に対して行っています。現在までに2000人以上の患者様にこの方法を行い、最高93歳の患者様もこの手術受けられ、術後3週間で御自宅に帰られ元気にしておられます。また、これ以外に胸部大動脈瘤の手術では、人工心肺を使用し体温を低温にした上で、血液の流れを一時的に止める必要がありますが、これもやはり身体には大きな負担となります。動脈瘤の位置によっては、このような大がかりな事をせずに体の血流を保ったまま患部にグラフトを挿入するステントグラフトという方法を2001年に取り入れ、数多くの患者様を治療してまいりました。

以上はわれわれが行っている手術の一部ですが、上記のように最大の手術効果を低侵襲に安全な方法で引き出すという方針で日夜心臓血管外科の診療にあたっています。今まで高齢、重症のために、無理といわれてきた心臓血管外科手術もかなり安全に可能になりつつありますので、是非お気軽にご相談頂ければ幸いです。

成人心臓血管外科